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2026/08/26 08:01


【この調査で分かったこと】

  • ・砥石を試さない・使わない理由は「値段」でも「時間」でもなく「不安」。「道具の値段」と答えた人は1割ほど
  • ・切れ味が落ちた包丁への対処は、簡易シャープナー36%が砥石32%をわずかに上回る
  • ・砥石がある世帯(回答者全体の3分の2)のうち約4割は、実は日常的に使われていない

といし屋「碧」が2026年8月、独自に実施した3本のアンケート調査(クラウドソーシング、各n=300、合計n=880)から明らかになった、包丁のお手入れに関する実態レポートです。調査の詳細設計・限界は本文「調査方法」でご確認ください。

本調査について:本調査は砥石を販売する当店(といし屋「碧」)が実施しています。回答者はクラウドソーシングで募集した方で、全国を代表する無作為サンプルではありません。数値の読み方の注意点は「調査方法・データの見方」の章にまとめています。
調査概要
実施主体といし屋「碧」
調査方法クラウドソーシングによるアンケート、計3本
実施期間2026年8月25日〜26日
対象・回収数①一般募集300件/②砥石のある世帯300件/③砥石のない世帯300件(回収計900件)
分析対象n=880(冒頭の絞り込み設問と回答内容が食い違った20件を分析時に除外。詳細は「調査方法・データの見方」参照)

この記事の内容

  • ・砥石を使わない理由は「不安」
  • ・4世帯に1世帯で、砥石が「眠って」いる
  • ・切れ味が落ちたときの対処、シャープナーが砥石を上回る
  • ・実際に砥石を使っている人の実態
  • ・砥石を持っていない人の実態
  • ・砥石とシャープナー、切れ味の持続はどう感じられているか
  • ・回答者属性
  • ・調査方法・データの見方
  • ・出典・引用について

砥石を使わない理由は「不安」

試すことへのハードルの1位・2位は「技術への不安」36%と「面倒さ」35%の僅差。「道具の値段」はわずか11%でした。

砥石を持っていない世帯(調査③、冒頭の設問で「持っていない」と回答したn=281)に「試すことへのハードル」を聞いたところ、回答は次のとおりでした(選択肢すべてを表示、四捨五入のため合計は101%)。

  • ・技術への不安 36%
  • ・面倒さ 35%
  • ・道具の値段 11%
  • ・時間がない 9%
  • ・置き場所 6%
  • ・特にハードルは感じない 4%

同様の傾向は、すでに家庭に砥石があるのに自分では使わない層(調査②、n=93)でも見られます。使わない理由は「やり方が分からず不安」45%が最多で、「面倒」31%を大きく上回りました(その他・時間がない・効果を感じないなど24%)。

ポイント:砥石が家庭に広がらない最大の壁は、価格でも保管場所でもなく「やり方が分からない・失敗が怖い」という心理的なハードルだと、2つの独立した調査が同じ方向を示しています。「技術への不安」と「面倒さ」は僅差で、この2つが事実上のツートップです。一方「道具の値段」は③で11%、②でも大きな理由には挙がっておらず、価格が主要因という見方には無理があります。

4世帯に1世帯で、砥石が「眠って」いる

砥石がある家庭でも、そのうち約4割は実は日常的に使われていません。

調査①(n=300、対象を絞らない一般募集)で「現在、ご家庭に砥石はありますか」と尋ねたところ、回答は次のとおりでした。

回答割合
持っていて、家族の誰かが使っている41%
持っているが、ほとんど使われていない25%
持っていない34%

回答者全体(n=300)の4世帯に1世帯(25%)が「持っているが、ほとんど使われていない」でした。これを砥石を持っている世帯(41%+25%=199世帯)だけに絞って見ると、76世帯・約4割(38%)が「持っているがほとんど使われていない」ことになります。砥石は一度買えば終わりの道具ではなく、家庭の誰かが使い方を覚えて初めて活きる道具だということが、この数字から見えてきます。

切れ味が落ちたときの対処、シャープナーが砥石を上回る

簡易シャープナー36%が、砥石32%をわずかに上回りました。

調査①で「ふだん、切れ味が落ちた包丁をどうしていますか」と尋ねた結果です。

  • ・簡易シャープナーを使う 36%
  • ・砥石で研ぐ 32%
  • ・買い替える 18%
  • ・我慢して使う 11%
  • ・プロに研いでもらう 4%

※四捨五入のため合計は101%になります

砥石を販売する当店にとって歓迎できる数字ではありませんが、実態としてそのまま公開します。なお、調査①の全回答者(n=300)に「包丁を研いで『切れ味が戻った』と実感した経験はあるか」を尋ねたところ、75%が「ある」と回答しています(「研いだことがない」21%、「ない」4%)。砥石という選択肢自体への評価が低いわけではなさそうです。

実際に砥石を使っている人の実態

最多の悩みは「どれくらい研げばいいか分からない」(44%)。技術より「終わりの判断基準」の分かりにくさがハードルでした。

調査②では、砥石のある家庭のうち「自分で使っている」と回答した206名に、直近1年の研いだ回数と、困りごとを聞きました。

直近1年で研いだ回数(n=206):1〜2回43%/3〜5回30%/6回以上24%/0回2%(四捨五入のため合計は99%)

研いでいて一番困った・失敗したこと(n=206)

  • ・どれくらい研げばいいか分からない 44%
  • ・時間がかかる 20%
  • ・角度が分からない 17%
  • ・特に困っていない 14%
  • ・バリの取り方が分からない 5%

砥石を持っていない人の実態

86%が「試したい」「興味はある」と前向きに回答。関心自体は低くありません。

砥石を持っていない世帯(調査③、冒頭の設問で「持っていない」と回答したn=281)に、今後試してみたいかを聞きました。

今後、砥石を試してみたいか(n=281):興味はあるが不安57%/試したい29%/興味がない14%

「試したい」「興味はあるが不安」を合わせると86%が前向きな回答でした。先述のとおりハードルは価格や手間よりも「不安」に集中しています。ただし、この募集はテーマを明示した調査であるため、砥石への関心が元から高い層がやや多く応募した可能性がある点は差し引いてご覧ください。

砥石とシャープナー、切れ味の持続はどう感じられているか

注意:この章の数値は、別々に募集した2つの集団(砥石を自分で使っている人/シャープナーを使っている人)による自己申告の比較です。同一条件で実測したものではなく、募集条件も自己選択バイアスも異なる集団同士の比較である点をご理解のうえお読みください。

砥石利用者の64%が「1ヶ月以上」長持ちすると回答。シャープナー利用者は63%が「3週間以内」で低下を感じています。

砥石で研いだ場合にどのくらいの期間で切れ味の低下を感じるか(調査②、自分で使っている方のうち「わからない」を除くn=186)と、簡易シャープナーで手入れした場合(調査③、実際にシャープナーを使っている方のみn=133)を並べたものです。

低下を感じるまでの期間砥石(調査② n=186)シャープナー(調査③ n=133)
1週間以内5%23%
2〜3週間31%40%
1ヶ月程度39%28%
それ以上25%9%

砥石利用者は「1ヶ月程度」「それ以上」で64%、シャープナー利用者は「1週間以内」「2〜3週間」で63%と、傾向としては砥石の方が長持ちすると感じている方が多いという結果でした。繰り返しになりますが、これは実測ではなく自己申告の体感値であり、別々の集団の比較です。

回答者属性(調査①)

以下は調査①(n=300)の回答者属性です。調査②・③は別途、条件を絞って募集しているため、この属性が3調査全体を代表するものではありません。

年代:40代37%/30代33%/50代17%/20代9%/60代以上4%(無回答1件)

性別:女性56%/男性43%/回答しない1%

主に使う包丁の材質:ステンレス76%/鋼(炭素鋼)13%/わからない7%/セラミック5%(四捨五入のため合計は101%)

調査方法・データの見方

3本の調査はいずれもクラウドソーシングを通じて2026年8月25日〜26日に実施しました。当初は1本の調査で分岐させる設計を検討しましたが、砥石は個人ではなく世帯単位で保有・使用される道具であるという前提に立ち、①保有比率を把握する一般募集(対象を絞らない中立的な文言、n=300)、②砥石のある世帯限定(n=300、実際に「持っていない」と正直に回答した1名は分析から除外)、③砥石のない世帯限定(n=300、実際に「持っている」と回答した19名は分析から除外)の3本に分けて実施しました。

②・③とも、冒頭で「砥石を持っているか」を尋ね、その回答に応じて以降の設問を出し分ける設計にしています。ただし、対象条件に当てはまらない回答者を無報酬にする設計にはしていません。無報酬にすると、正直に「対象外です」と答えるより嘘をついて回答した方が得になってしまうためです。全員に報酬を支払ったうえで、分析時にはこの冒頭の設問への回答をもとに対象者を絞り込んでいます。なお②では、冒頭の設問では「自分では研がない」と答えたのに、後の設問では自分で研いだ前提の回答をしてしまうなど、回答内容が一部食い違うケースが見られました。このような場合は、常に冒頭の設問の回答を基準にして集計しています。

本文の%はすべて整数に四捨五入して表記しています。選択肢が複数ある設問では、四捨五入の結果、合計が100%にならない場合があります(該当箇所に注記しています)。

注意(サンプルの限界):本調査はクラウドソーシングで募集した回答者によるもので、全国の家庭を代表する無作為抽出サンプルではありません。回答者は在宅ワークが可能な層に一定の偏りがある可能性があります。「日本の家庭の〇割が」のような一般化はできず、あくまで「本調査の回答者のうち」という前提でお読みください。また、n=300程度の規模のアンケート調査では、母集団の性質が変わらなくても、同一設問を別の時期・別の回答者集団で実施すると数ポイント程度の変動が生じるのが一般的です(標本誤差。クラウドソーシングに限らず、アンケート調査全般にあてはまります)。本調査でもこの変動自体は実測していません。ここに示す数値は、あくまで本調査時点・本調査回答者における結果としてご覧ください。

まとめ

  • ・砥石が家庭に広がらない理由は「面倒」や「値段」ではなく「不安」
  • ・すでに砥石を持っている世帯でも、4割近くは使われないまま
  • ・持っていない人の86%は「試したい」「興味はある」と前向き

切れ味が落ちたときの対処では、簡易シャープナーが砥石をわずかに上回りました。一方で、実際に砥石を使っている人の多くは切れ味が戻った実感を得ています。砥石という選択肢自体への関心は低くなく、課題は入口の「分からなさ」をどう解消するかにあるようです。

出典・引用について

本記事のデータ・グラフはご自由にご利用・引用いただけます。ご利用の際は、本記事へのリンクを添えてご紹介いただけますと幸いです。

出典:といし屋「碧」「包丁のお手入れ実態調査2026」(本記事へリンク)

グラフ画像(PNG)や集計データ(CSV)の提供、その他ご質問がある場合は、お問い合わせよりご連絡ください。


運営:といし屋「碧」|本調査は当店が企画・実施しました。