2024/05/26 11:31
深#300改良
昨年末ですが、研ぎに造詣の深い方々に見ていただく機会がありました。
その声をもとに改良の試作を地道に続けていたのですが、先日、やっとリリースすることができました。
何が良くなったかというと、
何が良くなったかというと、
「平面維持力」と「食い付き」が一段高いところでバランスするようになって、さらに、優しいアタリの「深」らしさが増しました。
自信をもってお届けできる改良となりましたので、ぜひ多くの方に手に取っていただけると嬉しいです。
新しい深#300は、白色です。

開発着手のきっかけ
昨年、2023年の年末頃に、SNS投稿キャンペーンというものを行い、そこで多くの方から直接お声をいただだくことができました。賛否色々なお声をいただきましたが、たくさんのご意見を分析して見えてきたのは、「面持ち」と「砥石への刃の食い付き」のバランスを改善する余地がありそうだ、ということでした。
ただ、これが中々難しい課題でして、実はこの2つは相反しがちな性質です。
・面持ちをよくしようと硬くすれば、刃物が滑りやすくなるし、
・刃をしっかり食い付くようにしようと思えば、硬度を落とさないといけない。。。
という感じです。
砥石を開発する時は、いつもこれに泣かされています。。
開発の経緯
なぜ半年もかかってしまったのか。
まず取り組んだのは、火入れの加減で硬さを調整してちょうど良いバランスを見つけられないかということです。
何度か試したのですが、その結果は、「あちらを立てればこちらが立たず」という、砥石の難しさを再確認しただけでした。
そうなると次は、結合剤の種類や配合を試すしかないのですが、ここでももなかなかよい結果が得られません。
この時は、結合力に影響するガラス質の割合を変更することで、ちょうど良いところが見つかるのではないか(?)という仮説を持って色々試していました。
いろいろ試しましたがなかなかよい結果が得られず、この時点では、「深」の「泥研ぎで刃へのアタリがよい」というコンセプトを守りながらバランスを改善することは難しいのかなぁ(?)なんて弱気になったりもしていました。
灯台下暗し
そんな時にふと思いついたのが、
結合剤のグレードを上げたらどうなるんだろう?ということです。「グレードを上げる」というのは結合剤(土)の粒度を細かくするということです。原料の配分をあれこれ変えるのではなく、粒子を細かくしてみる。ただそれだけです。
なぜこの時にそれを思いついたのか、また逆に、なぜそれまで思いつかなかったのか。
ただ、「やってみよう」とその時にふと思いついたというだけです。
試してみたところ、結果はかなり良好!
「面持ち」と「砥石への刃の食い付き」のバランスがかなり改善されていました。
しかも、もともと「深」で使用している結合剤の粒度を変えただけですから、「深」らしさは失われていません。というか、アタリの良さといった研ぎ感の「深」らしさがむしろ増したぐらいです。
どういう化学反応が起きたのかは推測/考察の域を出ませんせんが、結合剤(土)の粒子が小さくなったことで、「結合がぎゅっと引き締まり、かつ、小さな結合剤の粒径がが研磨剤を邪魔しなくなった」ということなのだろうと考えています。
どういう化学反応が起きたのかは推測/考察の域を出ませんせんが、結合剤(土)の粒子が小さくなったことで、「結合がぎゅっと引き締まり、かつ、小さな結合剤の粒径がが研磨剤を邪魔しなくなった」ということなのだろうと考えています。
いろいろと遠回りして辿り着いたのは、もともと使っていた「深」の結合剤でした。
いずれにしても、「面持ち」と「砥石への刃の食い付き」のバランスが改善されて、荒砥石らしい荒砥になりました。
いずれにしても、「面持ち」と「砥石への刃の食い付き」のバランスが改善されて、荒砥石らしい荒砥になりました。
「灯台下暗し」。なるほど、こういう時に使う言葉だったのかと思った次第です。