読み物(ブログ)

2026/07/04 13:25

 

【結論】迷ったら、1本目は中砥石#1000、2本目は仕上げ砥石#3000。家庭の包丁はこの2本でほぼ完結します。荒砥(#120〜#400)は刃こぼれした時だけ、#8000以上は用途しだいの任意です。

この記事では、番手ごとに「誰に必要か・どれを選ぶか」を砥石屋が逆引きで解説します。

まず1本なら「ALTSTONE 深 #1000」。日常の切れ味回復は、この1本で十分です。

具体的な選び方や定番モデルの比較は砥石のおすすめは?で詳しく解説しています。

この記事の内容

  • ・用途別・買うべき番手の早見表
  • ・番手別おすすめ砥石(#1000/#3000/荒砥/#5000〜/#8000〜)
  • ・失敗しない組み合わせ・避けたい組み合わせ
  • ・砥石屋として正直に:買わなくていい番手
  • ・よくある質問(FAQ)

1. 結論:用途別・買うべき番手の早見表

番手は上から揃えるのではなく、#1000を起点に、必要が出たら足すのがコツです。まず下の早見表で、自分のやりたいことに対応する番手だけ確認してください。

やりたいこと買うべき番手優先度
日常の切れ味を戻したい中砥 #1000全員(まずこれ)
切れ味をもっと滑らかにしたい仕上げ #30002本目におすすめ
刃こぼれ・欠けを直したい荒砥 #300前後欠けた時だけ
刺身の口当たり・和包丁の刃を極めたい#5000〜#6000料理好き・和包丁の方
鏡面・精密な刃付け#8000〜#10000任意(こだわる方)

家庭の包丁は #1000+#3000 の範囲で十分です。

2. 番手別おすすめ砥石

番手ごとに「誰に必要か」と「選ぶときの目線」、おすすめを紹介します。同じ番手でも、優しい研ぎ味で万能の「深(FUKAMI)」と、硬口で精密・水をかけるだけで使える「凛(RIN)」という性格の違いで選び分けられます。

#1000(中砥石)|全員の1本目

日常の「切れなくなった」を戻す基本の番手です。家庭の包丁なら、#1000が1本あれば切れ味の維持はほぼ完結します。

  • ・VG10などの研ぎにくいステンレス包丁中心なら、食いつきの良い柔らかめ
  • ・精密な刃付けを求めるなら、硬口

最初の1本には、食いつきがよく扱いやすい「ALTSTONE 深 #1000」がおすすめです。

#3000(仕上げ入門)|2本目におすすめ

#1000で作った刃を整えて、切れ味を一段滑らかにする番手です。トマトや鶏皮で違いが分かりやすく、家庭用途なら仕上げは#3000で十分というのが砥石屋としての正直な結論です。

  • ・深 #3000:#1000とセットで使う定番。優しい当たりでカエリ取りもしやすい
  • ・凛 #3000(不吸水):シャープなエッジに寄せたい方に

#300前後(荒砥石)|欠けた時だけ

金属を大きく削って刃の形を作り直す番手です。普段の研ぎには不要で、欠けが出てから買い足せば間に合います。

  • ・深 #300:面持ちと食いつきを両立させた荒砥。刃こぼれ修理はこれで
  • ・凛 #120(不吸水):大きな欠け・形の作り直しなど、より強く削りたい場合に

#5000〜#6000(仕上げ)|刺身・和包丁・料理好きの方へ

切れ味の滑らかさと刃持ちのバランスが良い帯域です。刺身の口当たりや、野菜の切断面の美しさにこだわる方はここまで。#3000と#8000の間を1本で受け持てる使い勝手の良さがあります。

  • ・深 #5000:「#3000と#8000が離れすぎ」という声から生まれた中間番手
  • ・凛 #5000(不吸水):硬口で面精度を保ったまま緻密に仕上げたい方に
  • ・層一層 #6000(レジノイド):クリーミーな研ぎ味。和包丁を曇り(霞)に仕上げたい方はこちら

#8000〜#10000(超仕上げ)|必要な人だけの任意領域

鏡面に近い刃・精密な刃付けの領域です。切れ味の実用差は小さくなるため、家庭の三徳包丁には必須ではありません。柳刃で刺身を引く方、鉋・鑿など精密さが要る道具、研ぎ自体が趣味の方に。どこまで必要かの考え方は「仕上げ砥石は何番まで必要か」で解説しています。

#8000クラスを選ぶ軸は2つ。仕上がり(光らせるか・曇らせるか)と研ぎ味(優しいか・硬口か)です。

仕上がり・研ぎ味おすすめこんな方に
光らせる×優しい研ぎ味深 #8000(吸水)超仕上げの入口。当たりが柔らかく失敗しにくい
光らせる×硬口・精密凛 #8000(不吸水)凛 #10000(不吸水)面精度を保った鏡面・最終仕上げ
曇らせる(霞仕上げ)層一層 #8000(レジノイド)和包丁を霞に。クリーミーな研ぎ味
天然砥石の風合い北山 #8000(大谷砥石・当店取扱)昔ながらの超仕上げの定番が好きな方
#8000を活かすコツ:いきなり#1000から#8000へ飛ばず、間に#3000〜#5000を挟むこと(前の傷が残ると#8000の効果が出ません)。研ぐときは軽い圧で撫でるように。砥面が目詰まりして滑る感じがしたら、名倉砥石で砥汁を出すと食いつきが戻ります。

3. 失敗しない組み合わせ(1本目→2本目→3本目)

番手は「粗い→細かい」の順に使います。組み合わせは離れすぎないのがコツで、#1000→#3000のように3倍前後の間隔が扱いやすい目安です。

タイプ基本(1本目→2本目)3本目(任意)
家庭の標準#1000 → #3000#300(欠けたら)
料理好き・切れ味重視#1000 → #3000#5000〜#6000
和包丁(柳刃・出刃)#1000 → #3000〜#5000#6000〜#8000(霞なら層一層)
研ぎを極めたい#1000 → #3000→#5000#8000→#10000

避けたい組み合わせ(よくある失敗)

番手の組み合わせは、足すことよりやらない方がいいことを避けるほうが失敗しません。

  • ・#1000からいきなり#8000へ飛ばす:間が空きすぎて#1000の研ぎ傷が残り、仕上げの効果が出ません。間に#3000〜#5000を挟むのがおすすめです。
  • ・荒砥を何本も揃える(#220と#400など):どちらも形を作り直す荒砥で役割が重複。荒砥は#300前後を1本、欠けたときだけで十分です。
  • ・両面砥石“だけ”で揃える:省スペースで入門には良いのですが、1枚が薄く寿命で不利になりがち。長く使うなら単体2本が結局扱いやすいです。
  • ・#2000を#1000の代わりに一足飛びで買う:悪くはありませんが、#1000+#3000があるなら急いで足す番手ではありません。

1本目(#1000)そのものの選び方は「砥石のおすすめは?はじめての1本の選び方」で詳しく解説しています。

4. 砥石屋として正直に:買わなくていい番手

砥石屋がこう言うのも変ですが、番手は多く持つほど良いものではありません。#400〜#800の帯は#1000と役割が重なりがちですし、#2000も#1000と#3000があれば急ぎません。#8000以上は前述のとおり任意です。

まず#1000を使い込んで、「もっと滑らかにしたい」「欠けを直したい」と感じた方向にだけ足す。それが一番ムダのない揃え方です。

使う前の注意:吸水タイプは使用前に5〜15分ほど水に浸ける(不吸水タイプは水をかけるだけでOK)。どの番手も使ううちに中央が凹み、凹んだまま研ぐと刃が安定しないので、定期的な面直しを習慣に。研ぎ中は刃先の進行方向に指を置かないよう注意してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 砥石を買うなら結局何番がいいですか?

A. 1本だけなら中砥#1000です。家庭の包丁の切れ味回復はこれで完結します。2本目は仕上げ#3000がおすすめです。

Q. #1000と#3000の違いは何ですか?

A. #1000は刃を「作る」番手、#3000は作った刃を「整えて滑らかにする」番手です。#3000をかけると切れ味の質と持ちが上がります。

Q. #6000と#1000はどちらを買うべきですか?

A. まず#1000です。#6000は刃を作る力が弱く、単体では切れ味を戻せません。#1000(+できれば#3000)の後に使う仕上げ用です。

Q. 8000番だけで研げますか?

A. 研げません。#8000は削る力が弱く刃そのものを作れないためです。#1000で刃を作り、#3000〜#5000で整えたあとの「最後の一磨き」が役割です。

Q. 番手はどの順番で使いますか?

A. 数字の小さい方から大きい方へ(粗→細)。例:#300→#1000→#3000。飛ばしすぎると前の傷が消えにくくなります。

Q. 砥石は何番と何番を組み合わせればいいですか?

A. 家庭なら中砥#1000と仕上げ#3000の2本が基本です。もう一段こだわるなら#5000〜#6000を足した3本。逆に、#1000から#8000へ一気に飛ばす・荒砥を何本も揃える、といった組み合わせは避けてください。

Q. 両面砥石(#1000/#6000など)でもいいですか?

A. 省スペースで始めたい方には合理的です。ただし薄く減りやすく、面直しの頻度は上がります。長く使うなら単体2本が結果的に扱いやすいです。

まとめ

番手選びに迷ったら、まず中砥#1000、次に仕上げ#3000。この2本で家庭の包丁はほぼ完結します。最初の1本には「ALTSTONE 深 #1000」からどうぞ。ALTSTONEは#120〜#10000まで、優しい研ぎ味の「深」・硬口不吸水の「凛」・霞仕上げの「層一層」を番手ごとに揃えています。

次に読むなら → 砥石のおすすめは?はじめての1本の選び方

そのほか、あわせて読みたい