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2026/06/06 10:45

【結論】刺身包丁・出刃包丁・薄刃包丁などの片刃の和包丁は、①表を研ぐ→②裏側のカエリを取る(裏押し)→③切刃を研いで厚みを整える、の3ステップで研げます。両刃(三徳・牛刀)とは研ぎ方が違うので、まずこの3ステップの流れを押さえてください。

この記事では、片刃ならではの構造(裏スキ・裏押し)から3ステップの手順、包丁の種類別の注意点までを、といし屋「碧」の視点で解説します。記事内には実演動画も用意しています。動画で使用した砥石はこちら → 「ALTSTONE 深 #1000」

この記事では、切れなくなった片刃包丁を切れるようにするまでを、①表を研ぐ → ②カエリを取る(裏押し)→ ③切刃を研いで厚みを整えるの3ステップで解説します。文章のあとに、ALTSTONE の砥石を使った実演動画(片刃編)も用意しました。

1. 片刃包丁とは?── 裏スキを理解する

片刃包丁とは、刺身・出刃・薄刃のように片側だけに刃が付いた包丁のことです。そして裏側には「裏スキ」と呼ばれるへこみがあり、その周囲に「裏押し」という平らな面があります。この裏スキがあることで、裏は最小限の接触で平面を保て、切った食材の離れが良くなります。

包丁が切れないのは、刃先が丸くなっているからです。研ぎの目的は、この丸まった刃先を削り直して、鋭い刃先を作ること。片刃では次の3ステップで進めます。

  • ・① 表面を研ぐ ── 刃が付いている表側を研ぎ、刃先を立てる
  • ・② カエリを取る(裏押し) ── 裏側を平らに当てて、めくれを落とす
  • ・③ 切刃を研ぐ ── 側面(切刃)を研いで、刃の厚みを好みに調整する

まずは動画で全体の流れを(片刃編・実演)

使用砥石:ALTSTONE 深 #1000 / 修正砥石

2. 用意するもの

  • ・中砥石(#1000) ── 片刃研ぎの主役。初心者はまずこれ1本でOK
  • ・修正砥石(面直し砥石) ── 裏押しのために砥石を平面に保つ。片刃では特に重要
  • ・布巾 ── 砥石が滑らないように下に敷く(濡らして固く絞る)
  • ・水 ── 少量の水が砥石に乗った状態でスタート

砥石には、使う前に水に浸ける(吸水)タイプと、水をかけるだけのタイプがあります。どちらかは製品の説明に書いてあるので、よく読んでから使いましょう。容器がなければ、2Lのペットボトルを切ると砥石を浸けるのにちょうど良いサイズになります。

3. 持ち方と2つの角度

片刃研ぎでは「角度」が2つ出てきます。混同しやすいので、分けて覚えてください。

  • ・包丁の向き=45° ── 手前から奥に置いた砥石の線に対し、包丁を右に45°に構える(砥石に対して0°と90°の、その半分)
  • ・刃を寝かせる角度=約40°(片刃の小刃の角度) ── 砥面に対して包丁を寝かせる角度。両刃は左右15°ずつで合計30°ですが、片刃は片側にしか角度をつけないため、片面で40°前後にします

左手は人差し指と中指の2本で、刃の上を軽く押さえます。刃ギリギリに置くと砥石と指が擦れるので少し手前に。残りの指は必ず刃より上に上げてください(下にあると、滑ったとき危険です)。押さえている指は砥石からはみ出さない・削れているのは指の真下だけ——この2つを意識すると、刃全体を均一に研げます。

4. ① 表面を研ぐ ── カエリが出るまで

刃の付いている表側を、上の角度を保って研ぎます。研ぎ汁(泥)は研磨剤として働くので、洗い流さずに残しながら研ぐのがコツ。砥石の同じ場所ばかり使わず、研ぐ位置を少しずつ移動させると砥石が均一に減ります。

研いでいくと、刃先の反対側(裏側)にカエリ(バリ)が出てきます。これは砥石が刃先まで当たった証拠で、金属の薄いめくれです。指の腹でそっと刃裏に触れて、ザラッとしためくれを感じたら、その部分は研げています。刃元から切っ先まで、全体にカエリが出るまで研ぎましょう。

5. ② カエリを取る(裏押し)── 砥石の平面が命

全体にカエリが出たら、裏側を砥石に当ててカエリを落とします。ここで最も大切なのが、砥石が平らであること。砥面が凹んでいると、せっかくの片刃の裏が丸まってしまい、両刃のようになってしまいます。研ぐ前に修正砥石で砥面を平らに整えてください。

裏は砥石にベタっと付けます。決して角度をつけてはいけません。この状態で前後に数回動かせば、カエリが取れます。

裏押しの幅は1〜2mmをキープ

裏が当たる「裏押し」の幅は、1〜2mm程度を保つのが大事です。裏押しがなくなるとうまく切れず、逆に裏を当てすぎて広がりすぎると、摩擦係数が大きくなって切れ味が鈍くなります。裏は軽い力で、当てすぎないこと。

6. ③ 切刃を研ぐ ── 厚みを薄くして抵抗を減らす

この時点で刃は付いているので、研ぎを終えても切れます。ただし、表を研ぐだけを続けていると刃先がどんどん分厚くなる一方で、食材をスッと切れません。そこで「切刃」と呼ばれる側面を研いで、刃を薄くする作業をします。

包丁を砥石に当て、切刃部分の真上に指を置けば、それが研ぐ角度です。このまま前後に動かして研ぎます。薄くするほど「スッと抜ける切れ味」に、厚みを残すほど「欠けにくい強い刃」になります。この側面の研ぎで、切ったときの抵抗や強度を調整できます。

いちばんのポイント:コバ(小刃)を乗り越えない

切刃を研ぐとき、先につけた刃先の小さな刃(コバ=小刃)を乗り越えて削らないこと。もしコバがなく、先端までベタに当たってしまうと、刃先が薄くなりすぎて研いでいる最中に刃が欠けます。コバは「刃先を守る土手」の役割。さらに完成後の強度の面でも、どの包丁も刃先の角度の合計値が30〜40°になるのが目安です。これより鋭角だと刃線が乱れ、ペラペラで切れ味も持たない。だからコバは必ず必要なのです。

7. 包丁の種類別・気をつけたいこと

基本の研ぎ方はどの片刃も共通ですが、種類によって少し意識したい点があります。

  • ・出刃包丁 ── 刃が厚く、骨を叩く用途のため、切刃はやや鈍角(角度の合計40〜45°寄り)に。刃元を中心に、欠けに注意しながら研ぐ(詳しくは出刃包丁の研ぎ方|専用ガイドへ)
  • ・柳刃(刺身)包丁 ── 刃が長く、繊細な切れ味が命。一定の角度を保つのが難しいので、ゆっくり丁寧に。やや鋭角に仕上げて抵抗を減らす
  • ・薄刃包丁 ── 野菜の桂むき向け。刃線をまっすぐ保つことを意識する

注意:鎬(しのぎ)のラインを崩さない

切刃と平(ひら)の境目にある光沢のライン「鎬」は、和包丁の機能と見た目を左右する大事な部分です。一度崩すと修復が非常に難しいので、切刃を研ぐときは砥石が鎬に当たらないよう、研ぐ範囲に注意してください。

8. 仕上げと確認

最後に、刃当たり全体が研げているかを紙で確認します。新聞紙やコピー用紙を、刃の上で滑らせるように引いて、引っかからずに切れれば完成です。残ったわずかなカエリは、畳んだ新聞紙の上で刃を寝かせ、撫でるように引いて落とします(紙を切るのではなく、表面で拭うイメージです)。

慣れてきたら、仕上げ砥石も使ってみてください。簡易シャープナーでは絶対に得られない、滑らかな切れ味を実感できます。

両刃(三徳・牛刀)の研ぎ方は包丁の研ぎ方|初心者でも失敗しないコツ・ポイントを徹底解説、仕上げ砥石の選び方は仕上げ砥石とは|役割・選び方・使い方の完全ガイドへ。出刃だけを深掘りした出刃包丁の研ぎ方も公開しています。

9. 動画で使った砥石

🪨 動画で使用した砥石——実演で使用した「ALTSTONE 深 #1000」は、研ぐ面にフィットしやすく、和包丁にもおすすめの中砥石です。裏押しに使う修正砥石とあわせて、片刃研ぎの最初の道具にどうぞ。#1000=切れ味を戻す基準の番手、扱いやすいコンパクトサイズ、この記事・動画で実際に使用した1本。全国送料無料でお届けします。

よくある質問

Q. 片刃と両刃、研ぎ方は何が違いますか?

A. 両刃は左右15°ずつ均等に研ぎますが、片刃は表側だけに刃が付いているため、表を研いだあとに裏側のカエリを取る「裏押し」という工程が必要です。角度も片面で約40°と、両刃より寝かせて研ぎます。

Q. 裏押しをしないとどうなりますか?

A. カエリ(バリ)が残ったままになり、切れ味がすぐに落ちます。また裏押しの平面が崩れると、片刃本来の「食材の離れの良さ」も失われ、両刃のような切れ味になってしまいます。

Q. カエリが出ているか分かりません。どう確認しますか?

A. 指の腹で刃裏にそっと触れて、ザラッとしためくれを感じられればカエリが出ています。爪でひっかけると怪我をする恐れがあるため、必ず指の腹で優しく確認してください。

Q. コバ(小刃)を残さずに研いでしまいました。直せますか?

A. 表側の刃先を軽く研ぎ直して小さな刃を作り直せば戻せます。コバがない状態で切刃を研ぎ続けると刃こぼれの原因になるため、次回からは切刃研ぎのときにコバの位置を目印にして、そこを越えないよう意識してください。

10. まとめ

  • ・片刃は①表を研ぐ→②カエリを取る(裏押し)→③切刃を研ぐの3ステップ
  • ・裏押しは砥石の平面が命。修正砥石で面直ししてから
  • ・切刃を研ぐときはコバ(小刃)を乗り越えない
  • ・鎬のラインは一度崩すと修復が難しいので注意

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この記事を書いた店:といし屋「碧」(ALTSTONE)。日本製砥石の専門店・メーカー。自社ブランドALTSTONEの砥石開発と、新商品の試験研ぎを日々行いながら、スエヒロ・キング・大谷砥石など国産砥石を厳選して取り扱っています。ブログでは、砥石屋だから書ける包丁研ぎと砥石選びの実践知識を発信しています。→ お店について