2026/06/05 22:22
【結論】仕上げ砥石は、中砥のあとに刃を整えて切れ味と仕上がりを高める砥石です。家庭用なら#3000〜#6000で十分、それ以上は用途しだい。番手だけでなく「光る/曇る」や製法でも研ぎ上がりが変わります。以下で選び方を解説します。
「中砥で研げるようになったから、次は仕上げ砥石が欲しい」——そう思って調べ始めると、#3000から#10000超まで番手はバラバラ、「光る」「曇る」という謎の言葉も飛び交っていて、何を選べばいいのか分からなくなります。
※そもそも「番手(#の数字)」の意味があいまいな方は、先に「砥石の番手とは?」を読むと理解がスムーズです。
この記事は、仕上げ砥石の世界の「地図」です。役割、何番まで必要か、選び方、使い方のコツまでを一気通貫で整理します。各テーマの深掘りは専門記事に分けてあるので、気になるところから読み進めてください。
砥石選び全体の地図は「包丁を研ぐ砥石|選び方・使い方・必要な道具まで完全ガイド」にあります。この記事はその「仕上げ砥石編」です。
仕上げ砥石とは?役割を整理する

仕上げ砥石とは、一般に#3000以上の細かい番手の砥石を指します。役割は、中砥石(#1000前後)で作った刃先を、さらに磨き上げることです。
ここで大事なのは順番です。刃の形を作るのは荒砥と中砥の仕事。仕上げ砥石は「すでにできた刃」を整える道具であって、仕上げ砥石だけで切れない包丁を復活させることはできません。研ぎの土台は中砥までで決まります。
そもそも家庭に仕上げ砥石は必要?
正直にお答えすると、日常の料理だけなら#1000の中砥で十分です。当店でも、はじめての1本には中砥#1000をおすすめしています。
それでも仕上げ砥石をおすすめしたいのは、こんな方です。
- トマトの薄切りや刺身で「スッと入る」切れ味を体験したい
- 切れ味を長持ちさせたい(刃先が整うと摩耗が遅くなります)
- 研ぎ自体が楽しくなってきた
中砥の「まあまあ切れる」から、仕上げ後の「新聞紙がスーッと切れる」への変化は、研ぎのモチベーションが一段上がる体験です。
何番まで上げる?——用途で変わる(詳しくは専門記事へ)

仕上げは何番まで上げるべきか——答えは用途で変わります。料理人なら#3000〜#5000あれば実用上は充分。大工道具や鏡面を狙うなら、さらに上の番手へ進みます。番手は高いほど良いというわけではなく、「どこまでの切れ味・刃艶を求めるか」で必要な上限が決まります。
「光る砥石」と「曇る砥石」——番手では決まらないもう一つの軸

同じ番手の仕上げ砥石でも、研ぎ上がりが鏡のように光るものと、しっとり曇るものがあります。これは番手ではなく、砥石の砥粒や製法といった性質で決まる別の軸です。鏡面を狙うのか、霞のような曇りを楽しむのかで、選ぶ砥石が変わってきます。
仕上げ砥石の選び方——製法と硬さ
仕上げ砥石を選ぶときに見るべきは、番手のほかに製法と硬さです。
- 製法——ビトリファイド(焼成)は砥粒保持力が強く精密研削向き。水やお湯に浸けっぱなしでも変質しません。マグネシアは長時間の浸水NG、レジノイドはソフトな当たり。製法で吸水の仕方も変わります
(レジノイド製法で和包丁を霞に仕上げたいなら、ALTSTONEの「層一層(SO-ISSOU)とは」もあわせてどうぞ。) - 硬さ——硬口は平面が保たれ精密な刃付けに向く一方、泥が出にくく食い付きにくいことも。軟口は泥のアタリが優しく、曇り系の仕上がりになります
仕上げ砥石の使い方——3つのコツ
基本の研ぎ方は中砥と同じですが、仕上げではこの3つを意識してください。
- 力を抜く——中砥より一段優しく。刃先の微細なギザギザを整えるイメージで、数回ずつ両面を磨きます
- 泥を活かすか、流すか——泥を残せば曇り系、流水で流しながら研げば光り系に寄ります。同じ砥石でも表情が変わります
- 滑るときは名倉——硬い仕上げ砥石で刃物がツルツル滑るときは、名倉砥石で砥汁を作ると食い付きが戻ります
SUMMARY
- 仕上げ砥石は#3000以上。役割は中砥で作った刃の磨き上げ
- 日常料理だけなら#1000で十分。切れ味を追い込みたくなったら#3000から
- 何番まで上げるかは用途次第。家庭なら#3000〜#5000が現実解
- 同じ番手でも「光る/曇る」がある。決め手は泥
- 選ぶときは番手+製法+硬さの3点を見る
最初の仕上げ砥石に迷ったら
シャープな刃付けを緻密に追い込みたい方には、硬口の「凛(RIN)」シリーズもどうぞ。
なお、仕上げ砥石の前にまず基本の中砥#1000からという方は、「砥石のおすすめは?はじめての1本の選び方|まず中砥#1000」をご覧ください。





