2026/07/04 00:03
ALTSTONEには「深(ふかみ/FUKAMI)」「凛(りん/RIN)」「層一層(そういっそう/SO-ISSOU)」という3つのシリーズがあります。先に結論から。迷ったら深#1000──鋼材を選ばず食いつきが良い、最初の1本の定番です。浸水いらずで手軽に・硬口で緻密に研ぎたいなら凛、和包丁の霞(かすみ)仕上げや、しっとりした研ぎ心地を求めるなら層一層。この記事では、3シリーズの違いを製法から整理し、比較表と用途別の選び方でご案内します。
1. 3シリーズの位置づけ|製法で性格が決まる/2. ひと目で分かる比較表/3. 用途別・あなたはどれ?/4. 組み合わせ方(買い足しの順番)/5. よくある質問(FAQ)
1. 3シリーズの位置づけ|製法で性格が決まる
砥石の性格は、砥粒を固める「結合剤」=製法で大きく変わります。深は陶器のように焼き固める焼成(ビトリファイド)製法。凛は焼成をベースにした特殊製法で、硬口かつ不吸水という個性はここから生まれています。層一層は樹脂で固めるレジノイド製法です。製法の基礎知識はセラミック砥石とは?焼成・マグネシア・レジノイド製法の違いで詳しく解説しています。
深(FUKAMI)── 食いつきが良いオールラウンダー
適度な硬さを備えつつ、砥石単体でも鋼材への食いつきが良いのが深の持ち味です。名倉などの補助がなくても研削が素直に進むので、ステンレス・ハガネ・粉末鋼と鋼材を選ばず扱えます。「削れている手応え」を感じやすく、初心者がつまずきにくいシリーズです。使用前に5〜10分ほど水に浸す吸水タイプです。
凛(RIN)── 硬口・不吸水。緻密な刃付けと鏡面へ
凛は焼成をベースにした特殊製法で硬口に仕上げたシリーズです。面が崩れにくく平面維持性が高いため、角度を安定させて緻密に追い込めます。仕上げ番手では鏡面も狙えます。硬口ゆえ単体での食いつきは穏やかですが、名倉砥石を合わせると砥汁が出て本来の研ぎ味を引き出せます。水をかけるだけで使える不吸水タイプで、浸け置きの待ち時間がありません。
層一層(SO-ISSOU)── クリーミーな研ぎ味と霞仕上げ
層一層は結合剤の純度を高めたレジノイド砥石で、樹脂の弾力から生まれる「クリーミー」と評される研ぎ味が個性です。刃にやさしく当たり、和包丁の地金をほのかに曇らせる霞仕上げが家庭でも狙えます。番手は#2000始まりの仕上げ系シリーズなので、刃そのものは#1000(深・凛)で作ってから使うのが基本です。使用前に1〜2分浸水する吸水タイプです。
2. ひと目で分かる比較表
| 比較項目 | 深(FUKAMI) | 凛(RIN) | 層一層(SO-ISSOU) |
|---|---|---|---|
| 製法 | 焼成(ビトリファイド) | 焼成ベースの特殊製法(不吸水) | レジノイド(樹脂結合) |
| 硬さ・研ぎ味 | 適度な硬さ。やさしく食いつきが良い | 硬口。カチッと緻密 | 弾力がありクリーミー・しっとり |
| 吸水性 | 吸水(5〜10分浸す) | 不吸水(水をかけるだけ) | 吸水(1〜2分浸す) |
| 単体の食いつき | 良い(鋼材を選びにくい) | 穏やか(名倉で引き出す) | やさしく当たり滑らかに進む |
| 平面維持 | 標準的 | 高い(減りにくい) | 標準的 |
| 向く仕上がり | オールマイティ。日常の切れ味づくり | シャープな刃付け・鏡面 | 和包丁の霞仕上げ・化粧研ぎ |
| 名倉との相性 | 必須ではない | 相性◎(#120・#10000は併用前提) | 必須ではない |
| 番手 | #300 / #1000 / #3000 / #5000 / #8000 | #120 / #1000 / #2000 / #3000 / #5000 / #8000 / #10000 | #2000 / #4000 / #6000 / #8000 |
| こんな人に | 初めての1本・鋼材を問わず使いたい | サッと研ぎたい・緻密に追い込みたい | 霞仕上げ・研ぎ心地にこだわりたい |
※番手ラインナップは記事公開時点のものです。最新の在庫・サイズ展開は各商品ページをご確認ください。

3. 用途別・あなたはどれ?
深を選ぶ人
- ・砥石が初めて。まず1本で失敗したくない(深#1000が定番)
- ・いろいろな包丁を研ぐ。ステンレス・ハガネ・粉末鋼など鋼材が混在している
- ・VG10や粉末鋼などの硬い鋼材。耐摩耗性が高い鋼材ほど、食いつきの良い深が扱いやすくなります
凛を選ぶ人
- ・浸け置きの時間を省きたい。不吸水なので水をかければすぐ研ぎ始められます
- ・面が崩れにくい砥石で角度を安定させたい。硬口ならではの平面維持性
- ・鏡面や緻密な刃付けを追い込みたい。#5000以上では鏡面仕上げも。#10000まで番手がそろいます
層一層を選ぶ人
- ・柳刃・出刃など和包丁を霞に仕上げたい。地金がやわらかく曇り、刃境が美しく際立ちます
- ・研ぎ心地を楽しみたい。弾力のあるクリーミーな感触は研いでいて気持ちのいい砥石です
- ・仕上げ専用の1本を探している。#1000で刃を作ったあとの「最後のひと砥ぎ」に
4. 組み合わせ方(買い足しの順番)
3シリーズは競合ではなく、組み合わせて役割分担できる関係です。実際によくあるパターンを挙げます。どの組み合わせでも、刃を作るのは#1000、仕上げで個性を出す、という考え方は共通です。
- ・深#1000 → 層一層#4000:食いつきの良い深で刃を作り、層一層で霞に仕上げる。和包丁ユーザーの定番コース
- ・凛#1000 → 凛#3000:不吸水どうしで待ち時間ゼロ。切れ味と光沢のバランスが良く、日常はこの2本で完結
- ・深#1000 → 凛#5000:刃作りは深に任せ、仕上げは硬口の凛で鏡面に。ステンレスが美しく仕上がります
- ・深#300を追加:刃こぼれ直しや形直しには荒砥を。詳しくは「荒砥石」は本当に必要?選び方・刃こぼれの直し方へ
2本目をどう選ぶかの考え方は砥石の2本目は荒砥石?仕上げ砥石?|#1000の次でも詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 深と凛の一番の違いは何ですか?
A. 「研ぎ味」と「吸水性」です。深は適度な硬さで単体でも食いつきが良い吸水タイプ(5〜10分浸水)、凛は硬口で平面が崩れにくい不吸水タイプ(水をかけるだけ)です。詳しくは深と凛の違い|2シリーズ比較をどうぞ。
Q. セラミック(焼成)とレジノイドはどう違うのですか?
A. 砥粒を固める結合剤の違いです。焼成(ビトリファイド)は高温で焼き固めるためカチッとした研ぎ感に、レジノイドは樹脂で固めるため弾力のあるやわらかい研ぎ感になります。深が焼成、凛は焼成をベースに不吸水を実現した特殊製法、層一層がレジノイドです。
Q. 層一層だけで包丁を研げますか?
A. 層一層は#2000始まりの仕上げ系シリーズのため、単体での刃作りには向きません。まず#1000(深または凛)で刃を作り、そのあと層一層で仕上げるのが基本の流れです。
Q. 名倉砥石はどのシリーズにも必要ですか?
A. 必須なのは凛です。硬口の凛は名倉で砥汁と食いつきを引き出すことで本領を発揮し、特に#120と#10000は名倉併用が前提です。深と層一層は単体でも素直に研げるため必須ではありません。名倉の役割は名倉砥石は何のため?役割・使い方・歴史で解説しています。
Q. 初心者はどれを買えばいいですか?
A. 深#1000です。鋼材を選ばず食いつきが良いので「削れている手応え」が分かりやすく、失敗しにくい1本です。名倉・滑り止めマット・角度補助具付きのセットから始めると、研ぎに必要なものが一度にそろいます。
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